Salon : Atelier Live

「制作」

私達の世界(空間)は可能性と呼べる波(エネルギー)によって満たされています。何も無い世界、つまり真空(空、無)はすべてを創造し得る波の集積であり、それが色々な事物に形を変えて表出してきます。ある時は音、ある時は光、色そして物(物質)等々として。物質 (粒子)は閉じ込められた波の一つの形と考えることができます。この世界はそれらの物、事柄が互いに平等に関係し、作用し合うことで成り立っています。音は形を変えた光であり物質でもあります。光は形を変えた物質、音です。物質も同様です。私はそれらの関係、作用の在り方を様々な視点から読み取る、また仮定することにより制作を行っています。

私の作品はいつの場合でも絵画もしくは彫刻という考え方のみでなく言語であり音(音楽)、物理学、宗教学等々もしくはそれらと同等のものでもあります。作品に接する人、その環境、状態などによりその在り方は変容します。物、事柄の総ては常に固定化した一定の存在ではありません。互いの関係の中で自由に変容し、その正しい在り方を示そうとするバランス存在です。

この考え方が私の基本になっています。

(1987年ウィーン初個展時のテキスト)