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岡山出身でウイーン在住の造形作家・梶浦徳雄氏による電子メール通信。
梶浦氏へのメールは
wien@sanyo.oni.co.jp
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梶浦徳雄氏プロフィル
1951年岡山県都窪郡妹尾町(現岡山市妹尾)に生まれる。妹尾小、岡大附中、朝日高、東京芸大、同大学院に学ぶ。1981〜82年にはウイーン国立美術大学(オーストリア)に留学。一時帰国の後、1986年、再びオーストリアに渡りウイーン市に滞在、美術作家として制作を続け現在に至る。オーストリア国内各地、ドイツ、スイス、イタリア、リヒテンシュタインなどヨーロッパ各地やカナダ、日本でも多数の個展、グループ展及びアートフェアの実施、参加により作品の発表を行っている。
 

 朝10時ごろでしたかネ、ブザーが少々長〜く、ひたすら強〜くなりましてネ・・ 一体なんナンだろう、ト。今日この時間にどなたかいらっしゃる予定はありませんでしたし、ブザーの鳴り方がチト記憶にない感じだったもんで・・もしかして、ヒョットして、マサカ・・・・が・・・・・で・・・・・が・・したのかトカ、・・・を・・だから・・・・・・・かトカ。

 マ、イロイロ考えました訳ですけど、取りあえず表の扉を開けましたンですヨ。ト、ドタドタドタと階段を登ってくる足音。この足音も聞き覚えがナイ。結構わかるモンなんですよネ、これは誰々トカ。

 デ、ドアをチョボと開けましてネ、怖々顔を覗のぞけてたンですヨ。ト、やってきましたのは郵便屋と思しきお姉さん。お初のお顔でしたネ。デ、ハイ、コレお届けもんだヨ〜、トでっかい封筒。日本に住む知人からのものでしてネ。クッション付きのヤツでして、しかもEMSとか言う早〜く届く郵便。

 デ、中を開けますとナント・・なんと・・ごっつい箱入りの本。まさか中に・・・・トカ・・・・トカもしかして・・・・ナンてモンがトカイロイロ想像しながら怖々箱から取り出してみたンですヨ。ト、なんと・・ナント・・中身は写真集!!!!! マ、この知人の旦那はカメラマンでしてネ。近々写真集を出すと風の便りにこの前ウイーンに来たときに我が家の台所で本人からも聞いてたンですケド。マ、箱の表にも書いてありましたしネ。

 デ、コレ、70年代のウイーンの街を撮したヤツでして。このご夫婦、70年代に密かにコッチに住んでましてネ。デ、コッチ地方滞在中、余程暇だったのか旦那、カメラ片手にアチコチを歩きまわったらしいンですヨ。カメラマンてお仕事ですンで当たり前カトも。

 デ、ホントこの街の隅から隅まで知り尽くしてンですヨ。そこを迂ればタバコ屋さんがあってその斜め前の2階の角部屋にゲンさんが住んでいるとか、あそこの路地のすり切れた石畳のとこの古着屋のおばちゃんはケーキ作りは下手だけど値段もナカナカ負けてくれないとか、下水道3丁目GのF地区に住んでいるネズミのペーター一家は26匹家族でもうすぐ曾孫が8匹生まれるだとか。デ、生活費もかかるのでパン屋の手伝いを始めたとか。

 マ、ホントに良く知ってるンですヨ。彼は風のように去っていった80年以降もしょっちゅうここを訪れましてネ。ほぼ毎年ですかネ。年に何回かテ時もありましたネ。時代によるこの街の変化もアレコレ感じ取っていらっしゃるカト。

 デ、その街の変容の中で改めて70年代をト思われたのかも、ト。マ、単なる想像ですけど。このお方以前にも「T氏」トカの仮名で何度かココにご登場戴いてンですよネ。一度ぐらいはお写真、確かモザイク入り? でもご登場戴いたカト。私らのココ生活のお師匠さんト言えるお方でしてネ。

 デ、この際名前を出しちゃえ、ト。「田中長徳」とか言うお名前のお方でして。名字は普通に「タナカ」で良いンですけど名前が「チョウトク」と読ませるなどと少々怪しさを出しているお方でして。デ、本人そのものは・・モット怪しい・・・カモ。ア、公表するのはまだ本人の許可を得ていないもんで「タカナチョウトク」てのはヤッパ仮名ということにしておいてください。文句がでましたらS新聞社が上手く処理してくれる事でしょうけど、マ、取り敢えず。

 デ、コノオッさんその筋、いろんな筋がありますけど、には結構な有名人でして、お散歩してますとアチコチで声をかけられるトカ。本人は身を細くして出歩いてるのかもしれませんけどそのオーラは自然に出てしまいますからネ。記憶に残る風貌ト言う意見もありますけど。ココ、ウイーンでも一番の繁華街で雅楽の有名人「東ナントカ」テお方にナンパされまして以後一緒に秘密裏に良からぬ事をやってるトカ。ミュージシャンSはいきなり自宅に侵入してきて以後ヤッパあれこれトとか結構楽しく遊んでらっしゃるトカ。

 デ、写真集。古き良き時代の雰囲気が残っているウイーンの街が見事に描かれてましてナカナカのもんですヨ。70年代の風俗と絡み合い独特の雰囲気がこれまたイイ。私らの年代には懐かしさも感じさせてくれるンですよネ。只今書店にて税込み10000円、確か、で好評発売中カモ。街の今でも殆ど変わっていないところ、全く様変わりしたところイロイロ散りばめられてましてネ、楽しめるンですよネ。

 デ、私ナンですけど、このお休みしてました間にチョコちょことリンク通りのお散歩をまた始めましてネ。ト言いますのもこの10年ほどコノのんびりした街も変化が激しくなりましてネ。デ、せっかく長く住んでンですからもう一度ぐらいこの街についてアレコレと感じたり考えてみたりしようナ、ト。デ、リンク通りの入り口・・・・。

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 梶浦さんのメールアドレスは wien@sanyo.oni.co.jpです。梶浦さんへのお便りや、作品についてのお問い合わせをどうぞ。