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岡山出身でウイーン在住の造形作家・梶浦徳雄氏による電子メール通信。ゲージュツ家の日々って…。
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梶浦徳雄氏プロフィル
1951年岡山県都窪郡妹尾町(現岡山市妹尾)に生まれる。妹尾小、岡大附中、朝日高、東京芸大、同大学院に学ぶ。1981〜82年にはウイーン国立美術大学(オーストリア)に留学。一時帰国の後、1986年、再びオーストリアに渡りウイーン市に滞在、美術作家として制作を続け現在に至る。オーストリア国内各地、ドイツ、スイス、イタリア、リヒテンシュタインなどヨーロッパ各地やカナダ、日本でも多数の個展、グループ展及びアートフェアの実施、参加により作品の発表を行っている。
 

 
 ウイーンと言えば「音楽の都」。マ、これが一番知られてンですけど、ワタシにとっては「カフェの街」。

 昔から喫茶店ッテ好きでしてネ。日本にいるころ、コーヒーなんかを飲みながらのんびり読書。これが好きでしてネ。愛読書は、マンガと…新聞ですけどネ。コーヒー1杯で1時間以上。お店にあるヤツを片っ端から読んジまう。いい客じゃありません。

  デ、ホント多いンですよカフェが、この街は。歩いていると右にも左にも、角をまがるとまた一つ、振り向くとまた一つ。各家庭に一軒ずつあるんじゃないかと…ホントだったらチョット怖い。

 ナンデスカ、トルコ戦争、1683年らしいですけど、でトルコ軍が逃げてった後にコーヒー豆がたっぷり残されてたらしいンですヨ。それを褒美(ほうび)にもらったテ人がいましてネ、商売をしたのが始まりナンて言われてンですケド。見たわけじゃないンで…。

 お店にもイロイロありましてネ。昔ながらのお店とか、現代的なお店とか、ナカナカ怪しい雰囲気のお店とか。思いっきり個人の趣味に走ってぶつかっチマッタお店。それぞれ好みで色んな雰囲気を楽しめるンですヨ。

 デ、お店にはいると予約席の札が置かれているテーブルがヨクあるんですヨ。昔ながらの、マ、ウイーン風ッテ言うんでしょうか、そんなカフェに特に多いんですがネ。時には全部の席に札が置かれていることだってあるンですヨ。「○○時までなら座っていいよ」ッテお店の人が。デ、その時間になると、やって来るンですナ、常連さんが。ウエーターさんがチョット気取った感じで「今日はナンになさいます? マダム」テナ具合に言うんですヨ。自然に、その雰囲気を楽しむように。この感じ、こりゃモウ遺伝子+育った環境ですヨ。ワタシらがやってもダメ。安モンの芝居、際物にナッちまう。常連さんもその雰囲気を楽しんでンですネ。「いつものネ」とか「今日は…ネ」とか。

 何人かで来てゲームなんかを楽しむ人達もいる。カードのゲームが多いですネ。デ、ズルなんかをする人がいて、そのうち大乱闘になるかもしれない。椅子が飛び交い、テーブルはリングと化すかもしれない。負けがこんじまって、落ち込んでトイレから出てこない人がいるかもしれない。使用中があまり長いとコリャ、ちと困る。

 デ、友人がですネ。よく行くカフェで、のんびり茶ナンかをしてたンですヨ。そこへ日本のオバサマ方が3人でしたかネ、シズシズと入っていらっしゃいましてネ。「オネエチャン、ビール」。関西方面のおばさま方かと。ウエートレスさんは「???」。デ、又、「ビール」。「???」。デ、も一つ力を込めて、「ビ・イ・ルをく・だ・さ・い」。困ったウエートレスさん、一度奥にはいりましてネ、紙とボールペンを持ってきたンですヨ。それでおばさま方に、ここに書けト。おばさま、大きくハッキリ、「ビールを下さい」と、日本語で書いたトサ。メデタシ……?

 ちなみに「ビア」といえば通じますよ。