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岡山出身でウイーン在住の造形作家・梶浦徳雄氏による電子メール通信。ゲージュツ家の日々って…。
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梶浦徳雄氏プロフィル
1951年岡山県都窪郡妹尾町(現岡山市妹尾)に生まれる。妹尾小、岡大附中、朝日高、東京芸大、同大学院に学ぶ。1981〜82年にはウイーン国立美術大学(オーストリア)に留学。一時帰国の後、1986年、再びオーストリアに渡りウイーン市に滞在、美術作家として制作を続け現在に至る。オーストリア国内各地、ドイツ、スイス、イタリア、リヒテンシュタインなどヨーロッパ各地やカナダ、日本でも多数の個展、グループ展及びアートフェアの実施、参加により作品の発表を行っている。
 

 
  先日、7月2日ですけど、わたしンとこに誕生日ッてヤツがやって来ましてネ。別に来てくれって頼んでる訳じゃないンですけど、毎年律儀にやってくるンですよネ、こいつは。デ、ニカッと笑ってどっかへ行ってしまう。マ、ナカナカいいヤツなんで別に構わないンですけど、もう51回も飽きもせず。イヤ、シカシ、早いモンですネー、半世紀を越えてしまいましたヨ。マ、ナカナカ面白い日々を送らせて戴いてるモンで、感謝感謝ですヨ、人生を与えてくださった方々に。

 デ、その日はチョット野暮用がありましたンで次の日、家族とホイリゲッてとこに行きましてネ。友人達も集まってくれましてワイワイと過ごしたッて訳ナンですヨ。「ホイリゲ」。ウイーンにいらっしゃった方は必ずといってイイ程お立ち寄りになられたンじゃ・・。マ、ここの名物の一つですネ。「居酒屋」ナンてガイドブックには書かれてますけど。新しい、その年に出来た、ワインを飲みチラシながら、メシ、居酒屋料理、ト言ってもホッケやモツ煮ナンかはありませんけど、を食い散らかし、歌いまくりの踊りまくりの、デ、つまみ出されの、テ事は滅多にないンですけど、ですネ。

 ココ、国全体ですけど、ワインてヤツを結構作ってンですヨ。知ってました? デ、生活の中でも、産業としてもかなり重要なモノなんですヨ。アチコチで銘々勝手に作っちゃ「オレん家のが一番」などとニンマリしてるンですよネ。

 デ、このウイーンとその近辺のワインは主に辛口の白ワイン。デ、このワイン、結構デリケートというか・・・というか、あんまり長旅ですとか好きじゃナイ。機嫌のイイのも1〜2年トカ。すぐに気分を変えちゃうンですヨ。ですからなるべく機嫌のイイ時に飲んじゃえトなりましてネ。出来たらすぐ、一応11月11日が新しいワインの解禁日ナンて言ってますけど、にワッと酒飲みが集まって来るンですヨ。そン時ャ大変。この近辺はもとより遠くの町村やお国からもワンサといろんなヤツが来るもんですから、「ハロー」「ボンジュール」「セアヴス」「ニイハオ」「ホンジツハオヒガラモヨク」「バオワオ」「ミャアーミュー」「#&%@*¥?」「・・・・」。マ、元々は造り酒屋サンが新酒、出来たてのワインですネ、を黒パンですとかおつけもの、代表は酢漬けのキャベツ「ザオアークラウト」でしょうか、ナンかの簡単なおつまみを出してお客さんに振る舞ってたトカ。

 デ、ドンドン人が来るようになったモンですから、いつの間にか出来たてのワインを飲ませるのが売りの居酒屋さんもやるようになっちゃった。デ、出来たてのワインを「今年の」という意味の「Heuriger」ホイリガーと読んでくださいネ、と呼びまして、新米とか新茶みたいなモンですネ、新ジャガもそうですネ。デ、そっからこの居酒屋サンを「ホイリゲ」ナンて呼ぶようになったトカ。マ、ナカナカ楽しいトコですヨ。

 デ、誕生日。みんなでお外のテーブルに着きましてネ。爽やかな風に吹かれましてネ。ホイリゲ音楽を聴きながらシットリとワインを楽しんだ訳ですヨ。イヤ、楽しかったですネ。ちなみに私、お酒は飲みません。