農家モチーフに造形 ウイーン在住・梶浦徳雄さん
天満屋岡山店で個展
山陽新聞社ホームページに連載中の「ウイーン 風と光の中で」。執筆者、造形作家の梶浦徳雄さんの個展「ウイーンからの疾風」が8月19日(月)まで、岡山市表町2丁目の天満屋岡山店5階美術ギャラリーで開かれています。
梶浦さんは岡山市妹尾出身で、現在オーストリア・ウイーン市に滞在中。個展で帰岡した梶浦さんを会場に訪ね、作品を紹介してもらいました。
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天満屋岡山店の1階ステージにまず、ドンと作品が鎮座していた。良い香りの漂う化粧品売り場の入り口付近。展覧会テーマの「ma(間)−ある空間」にふさわしい「序」だ。
梶浦さんによると、今回の作品は「オーストリアのあちこちにポンと建っている農家」がモチーフ。古い農家はシンプルだけれど、何十年、何百年の重みがある。必要に応じて、建て増しをしたり、自由な感覚で生活とともに建物が造られている、という。「家が生きているというところに興味を持った」「自分なりにエネルギーを感じてみたい」。創作の動機。
そして5階美術ギャラリーへ。モノトーンの平面作品「ma−ある空間」(といっても、作品タイトルはすべて「ma−ある空間」)。輪郭がぼわっとした家の形。余計な色を使わず、柔らかな鉛筆で書き、手や布ですり込む。そして、建物の形に練りゴムで整えた。「モノを掘り起こすわけです」。
次。立体作品。農家の建物をシンプルに。二つに分かれているのは「パラレルワールド」。「時間の流れによって、別の空間が存在することを表した」。時間のズレを一つの形にしている。「会場に作品をおいていたら、ほこりをかぶったり、汚れたりする。これも作品。ほこりをはらわなくていいんデスよね」。
梶浦作品の色の一つ。「ちょっと赤みの強い朱」。5×5=25の小作品がまとまっている。「自分の中には、いろんな建物があります。自分の中で消化して作品に仕上げます」。いろんな建物とは「教会」「民家」「蔵」…。「ずっと昔からの農家の人、村の人たちがかかわってきた建物たちです」。
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